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教育・研究への取り組み

楽しい研究を行うこと

研究の原点は、「これまで理解できなかったことを理解したい」という誰もが持っている欲求を満たす行為です。ですから、その欲求を満足できた瞬間が最も楽しい時といえます。その楽しい時を迎えるためには、実験方法を確立するために何回も基礎検討を続けたり、徹夜で細胞の動きを観察したりと、膨大な努力を続けなければなりません。そのような努力の先にしか、楽しい研究成果は産まれませんが、これほど楽しいことはありません。

何をやるべきか、何をやりたいのかを知ること

私たちの分野では、主に哺乳類動物を対象に細胞周期や発生の研究を行っています。それは、生命科学研究の中の、ほんの小さな一部分にすぎません。研究を行っていると、対象としている研究テーマの周囲に、次々と疑問が湧き、興味ある現象を見つけることができます。でも、私の分野に所属する人たち全員が、私が興味を持っている細胞周期や発生に対する興味を共有する必要はありません。むしろ共有できるはずが無いと思います。生命科学研究は、途方もなく広く、深いものだからです。そのような世界の中から、一人一人が最も興味を持つことができる研究対象を探し出し、その道へ邁進できる知識と技術を身につけて欲しいと思っています。

論理的な判断のもとに行われる熱意あふれる研究

生命科学研究は、身の回りの生物を観察することから始まりました。今でも観察の重要性は決して失われたわけではありません。一方で、遺伝子・DNA の発見によって、私たちの体を構成する分子を遺伝子という言葉で書くことができるようになりました。すなわち観察される抽象的な現象をデジタルデータで記載することを試みているわけです。そこには、まだ生物学に特別な統一的な概念も理論もありません。つまり誰もが理解できる、常識的な論理を使っているに過ぎません。そこで、この常識的な論理を最大限駆使し、最も常識的に理解しやすい実験法を採用して、圧倒的な熱意を持って研究に取り組みたいと思います。